外務・厚労両大臣に、日本の国際的HIV対策への継続的貢献を求める声明を手交

Opinions2025年06月16日

2025年6月12日研究代表者の国際医療福祉大学田沼順子とAsia Pacific Community Summitに参加したオーストラリアの市民団体ACON代表のJustin Koonin氏が、海外の感染症研究者とともに、岩屋毅外務大臣と福岡資麿厚生労働大臣に対し、日本政府の国際的なHIV/エイズ対策への継続的貢献と支援強化を求める声明(要望書)を手交しました。

20250616_002.png 外務省報道発表:武見敬三参議院議員及びHIV/エイズ対策関係者による岩屋外務大臣表敬|外務省

この声明は、日本で初開催された「第10回アジア太平洋エイズ・重感染症会議(APACC 2025)」の開幕に合わせて発表され、2025年6月14日のAsia Pacific Community Summitでもその内容が話し合われました。

声明は、日本政府に対して以下の4点を要望しています。

  1. 多様な主体(市民社会・当事者)を含む国際連携の強化
  2. UNAIDS(国連合同エイズ計画)やグローバルファンドといった国際的イニシアティブへの安定的支援と運営参加
  3. 国際共同研究への投資により、持続可能なHIV対策を支援
  4. HIVプログラムとUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)の統合

手交後、岩屋外務大臣は、長年にわたりHIV/エイズ対策に取り組む関係者に敬意を表するとともに、「HIV/エイズをはじめとする国際保健課題にぶれずにしっかり取り組んでいく」と明言しました。また、日本として「UHC達成を含む"人間の安全保障"の実現に向け、国際保健体制の持続的な発展と強化を主導していきたい」との考えを示しました。

同席した武見敬三参院議員(前厚労大臣)は「日本政府が引き続き国際機関や市民社会など多様な担い手と連携し、国際保健・HIV対策で主導的役割を果たす」よう求めました。

福岡厚労大臣も「多様な担い手と連携をしていく重要性については全く同意します」と述べ、さらに「グローバルファンドへの投資については、外務省を含め政府内で検討している」と答えました。

現在、国際的なHIV/エイズ対策は、各国政府による資金支援の後退やPEPFAR(米エイズ救済プログラム)の凍結などを受け、深刻な危機に直面しています。UNAIDSの推計によると、このままでは4年後までに最大660万人の新規感染、約420万人の死亡が生じる可能性があると指摘されています。

国際的な感染症対策に貢献することが、エイズだけでなく次のパンデミックへの備えになり、日本国内への対策にもつながります。

要望書提出については、6月13日のNHKニュースで全国放送されました。外務省のホームページ(https://www.mofa.go.jp/press/release/pressite_000001_01362.html)でも紹介されています。

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